<向学新聞2015年7月号記事より>
6割が就活「長期化」と回答
文科省 大学・短大へのアンケート調査
文部科学省が6月25日、2016年卒の学生から後ろ倒しになった就職活動についてのアンケート調査結果を公表し、58・5%の大学などが就職活動が「長期化している」と回答した。
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アンケート実施期間は5月8日~22日で、全国の国公私立大学(62校)・短期大学(20校)の就職指導担当部門と2016年卒で就職を希望する3887人の学生が回答。前年度と比較して「授業への出席状況の悪化」、「卒論・修論指導への支障」が想定されると回答した大学などは75・5%に上った。さらに採用選考の開始時期(8月)について37・8%が「大部分の企業が遵守しなさそうである」と回答している。就職活動の後ろ倒しは学事日程を尊重し学業に専念できる環境を作ること、そして就職活動の早期化・長期化を改善するために実施されたが、想定とは正反対の結果となってしまった。
今回の就職活動の後ろ倒しは、政府の要請のもと日本経済団体連合会が企業の採用活動に関するルールを定めた倫理憲章の方針を変更したために生じた。しかし経団連の会員企業でなければ遵守する必要がない。そのため、早い段階から内定を出す企業も存在する。株式会社ディスコの調査によると6月初旬の段階で35・1%の学生が内定を得ていることが明らかになっている。そのため、内定を出した企業が学生を確保するための圧力が問題視されている。今回の文科省のアンケートでも、45・1%の大学が学生からハラスメント的行為の相談を受けたことがあり、1・9%の学生がハラスメントと感じられるような行為を「受けたことがある」と回答。具体的には、「内々定と引き換えに他社への就職活動をやめるように強要された」、「内々定と引き換えに入社意思確認を強要された」といった事例があげられている。
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