向学新聞2016年4月号
日本型雇用からの変革へ
経産省 外国人材活用の方向性
経産省資料より作成 n=600
経済産業省が3月22日、外国人材を活用するにあたっての課題、そして今後取り組んでいくべき方向性や対策をまとめた報告書を公表した。 日本が高度外国人材の獲得競争で遅れを取っていることを指摘している。外国人留学生は年間約1万人、研究者は過去15年間で約8700人が流出しているという。
報告書によると、留学生・元留学生の51%が日本で働く魅力について否定的な評価をしているという。キャリアパスの不透明さ、長期雇用・年功賃金に伴う昇進制度への不満、長時間労働へのストレスなどが理由としてあげられ、外国人社員からは「突然異動を命じられるが、異動の意図について会社から説明がない」、「仕事の質が低い人も年功序列で昇進している」、「仕事が終わっても周りの日本人社員が残っていて帰りづらい」という批判がある。報告書は日本型雇用からの変革の必要性を指摘し、年功制の撤廃や社員本人が考えた育成プランを策定している企業事例を取り上げている。
また、中堅・中小企業は経営者の理念を現場で共有しやすく、外国人材にとって魅力的な職場であると強調している。「経営者主導で外国人材の獲得を継続し、海外営業等に配属。好成績を上げれば高い処遇で応える」、「各国の旧正月などにあわせて1~2週間程度の長期休暇取得を認める」といった改革を進める中堅・中小企業の取り組みを紹介。
しかし、「留学生は就職活動スケジュールを把握していない」、「中小企業は外国人材の受け入れに関心はあるが経験がなく不安」などの理由から外国人留学生と中堅・中小企業間にあるミスマッチを問題提起している。留学生が就職を希望する際、70%がグローバルに事業展開している大企業を志望しているアンケート調査結果を盛り込みながら、留学生の中堅・中小企業への関心を高める情報提供や具体的な業務体験が必要だと提言している。
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