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向学新聞2016年5月号


「日本留学+就職」戦略へ

留学生支援カンファレンス

インターンシップの活用を 企業のインセンティブ必要


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(写真提供/JAPI)


 一般社団法人日本国際化推進協会(JAPI)が4月9日、産学官で留学生支援について考える「Japan ASEAN Youth Conference2016」を早稲田大学・井深記念ホールで開催した。
 
 パネルディスカッションの冒頭、文部科学省の義本博司氏が、「日本語学校から専修学校に進学する留学生が圧倒的に増えてきている」と留学生の進学先の現状を説明。明治大学の横田雅弘教授は「大学は、日本語学校経由ではなく直接入学する学生を確保していくのか。どのように留学生を考えるのか非常に迫られた問題だ。漢字圏ではないアセアン留学生の受け入れについて大学側は困っている」と問題提起した。
 
 世界中から日本の企業・大学に人材をリクルートするフォースバレー・コンシェルジュの柴崎洋平氏は「日本留学+就職パッケージ」での留学生呼び込み戦略を提案。「アジアの留学生から人気のアメリカ、イギリス、オーストラリアは留学大国ではあるが、その後の就職は極めて厳しい。一方で日本は一昨年、約1万4000人の留学生が留学ビザから就労ビザへの申請をして91・4%が認可されている」と日本の強みを分析。さらに、「東証一部上場企業のうち99%以上が選考の最初から最後までを日本語で通す。グローバル採用ではなく日本語ができる多国籍な外国人留学生を採用しているだけだ」と課題も指摘した。一方、お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニックの出口恭子氏は、「弊社はドメスティックな企業だが、英語対応が必要ないというわけではない。口コミからどんどん外国人のお客様が来て、外国語対応は大きな差別化になる。まずはインターンシップから留学生を活用していきたい」と話した。
 
 しかし、文科省の義本氏はインターンシップの全体的な動向について「熱心な大学はインターンシップを単位化するなど工夫しているが、受け入れ企業がなかなかない」と説明。柴崎氏はインターンシップが日本で主流にならない構造を分析。「経団連や同友会の指針では、企業は大学4年生まで選考活動をしてはいけない。それでは企業側が大学3年生の夏休みなどで長期インターンシップ生を受け入れるインセンティブがなさすぎる。欧米のハイレベルな学生は4年生になる直前の夏休みの長期インターンシップで内定を獲得している」と主張。日本で学ぶ留学生もインターンシップの必要性を感じている。シンガポール出身のツェン・オスティンさんは、「社会に出る前の教育としてインターンシップを導入した方がよい。インターンシップ経験は母国でも評価されるため需要は高い」と話した。出口氏は、「インターンシップは企業側にも大事なチャンスだと捉えたい。間違いなく未来の消費者になりえるからだ。中小企業としては、まず1人の留学生を育てて成功例を作り他の企業と共有していきたい」と強調した。



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