<向学新聞2016年12月号記事より>
日本企業への就職者数過去最高
法務省 前年2割増の1万5657人
中国6割、ベトナムは大幅増
2015年に日本企業等に就職するために就労可能な在留資格へと変更した留学生は、前年比20・8%増の1万5657人で過去最高となった。法務省が10月28日に発表した統計で分かった。国籍別では中国が9847人と6割を占め、ベトナムは2位韓国(1288人)に迫る1153人となり、前年比88・7%の大幅増となった。
法務省によると、2015年に在留資格「留学」から就労可能な「技術・人文知識・国際業務」などへの変更を申請した数は1万7088人。うち1万5657人が許可され、申請数・許可数ともに過去最高となった(許可率91・6%)。
就職者数の増加は留学生数全体の増加と関連している。法務省によると在留資格「留学」の数は2011年末に18万8605人だったが、2015年末には24万6679人となり、4年間で約6万人(30・8%)増えた。特にベトナム人留学生の増加は顕著で、日本語学校を除く高等教育機関への留学生だけでも2011年の4033人から2015年には2万131人と5倍に増えている(独立行政法人日本学生支援機構統計)。これら留学生が順次卒業年次を迎えていることが就職者数の増加につながっている。
いっぽう受け皿となっている企業側の外国人採用熱の高まりも背景にある。法務省入国管理局では、「企業が海外進出にあたり貿易業務をさせたい等の理由で外国人を雇うケースが増えていることが一因ではないか」と増加の背景を分析している。日本企業に2015年度の外国人採用予定を聞いた調査では、「採用する・採用予定」とした企業が過半数(54・8%)に上り、前年度から6・4ポイント上昇したという結果も出ている(2014年10月株式会社ディスコ調べ、回答社数493社)。
変更許可された留学生の最終学歴を見ると、大学卒が7383人(47・2%)、大学院卒が4931人(31・5%)で、合わせて全体の8割を占めている。専修学校の卒業者は2582人(16・5%)だった。
変更後の在留資格の種類は「技術・人文知識・国際業務」が1万3791人で、全体の88・1%と大半を占める構図には前年と変わりはないが、起業等を目的とした「経営・管理」は前年の383人から682人へと倍増している。2015年4月から在留資格「投資・経営」が「経営・管理」へと変わり、それまでの起業時に外国人が資本を出さなければならない要件がなくなり、日本資本の企業の経営・管理も行えるようになっている。
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