<向学新聞2017年1月号記事より>
産学官連携で留学生の就職支援
文科省 インターンシップから正社員へ
外国人留学生の日本企業への就職率を現状の3割から5割に向上させるため、文部科学省が2017年度から新たな留学生就職支援事業を始める。大学が中心となって中小企業・地方自治体などがコンソーシアムを組み、ビジネスレベルの日本語教育・就職活動方法の指導・1ヶ月以上のインターンシップなどを実施。予算規模は3億6200万円となる。
新事業実施の理由について文科省の槙氏は、「これまで留学生へのビジネス日本語教育や就職活動などの支援が足りなかった。即戦力より日本語ができる人材がほしいという企業が多い」と説明する。日本語の問題は入社後もあり、㈱ディスコが一昨年609社を対象に実施した調査では、留学生採用によって生じた社内問題トップ2が「文化・価値観、考え方の違いによるトラブル」と「言語の壁による意思疎通でのトラブル」だった。新事業では日本語教育や企業から講師を派遣して企業文化・就職活動の指導、インターンシップ等を通して実践的な就職支援を展開する計画だ。各コンソーシアムが独自のプログラム内容を策定し、文科省が12拠点を認定。1拠点あたり2500万円を支援する。
留学生の就職率向上にはインターンシップと中小企業(従業員300人以下)が鍵となる。槙氏は「中小企業は留学生のことや採用方法がよく分からず入口の段階でつまずいている」と分析。全企業の99・7%を占める中小企業がまずは留学生をインターンシップとして受け入れることが出来れば相互理解が深まるきっかけになる。さらに企業が留学生をインターンシップからそのまま正社員として採用する場合、就労ビザ申請の企業提出書類が簡素化される見込みだ。事業の成果はコンソーシアム内で共有される予定で、留学生採用のノウハウが乏しい中小企業にとって大きな後押しとなる。
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