向学新聞 2017年5月号
外国人の4割が入居拒否経験
差別的言動の経験も3割
法務省が3月31日に発表した在日外国人住民への調査で、過去5年間に外国人であることを理由に賃貸住宅等への入居を断られたとの回答が4割弱に上ったことが分かった。日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた外国人も4割強に上った。回答者の日本語力については約9割が日常会話レベル以上であったことから、日本語が通じないことによる拒絶ではないことがわかる。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が2010年に全国の家主に対して行った「民間賃貸住宅の管理状況調査」では、外国人への入居制限を行っていた家主は全体の8%程度だった。その後6年を経て外国人の住宅確保に関する環境が悪化してきている可能性もある。
また、日本で外国人であることを理由に侮辱されるなどの差別的なことを言われた経験のある人は3割弱(1269人)に上った。誰に言われたかを複数回答で聞いたところ、「見知らぬ人」からが53・3%で最も多く、次いで「職場の上司や同僚・部下、取引先」が38・0%、「近隣の住民」が19・3%だった。
外国人に対する差別や偏見をなくすため、国や地方公共団体はどのような取組が必要だと思うかとの問いには、「外国人の文化や生活習慣の違いを認めてお互いを尊重することを積極的に啓発する」が60・9%で最も多かった。次いで「地域社会の活動に外国人の参加を促すなど、外国人と日本との交流の機会を増やす」が53・0%、「日本人に外国人の法的地位や権利、生活状況等について、正確な知識を伝える」が45・4%の順だった。
同調査は無作為に抽出した1万8500人の在留外国人に調査票を郵送し、4252人から回答があった。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、外国人の人権擁護施策の基礎資料とするため実施したものだ。金田法相は記者会見で「外国人に対する不当な差別的言動・差別的取扱いがあってはならない」としたうえで、「様々な外国人からの人権相談に応じるとともに、その窓口の周知広報に努めたい」と述べた。
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