向学新聞 2017年6月号
東京都港区の外国人調査
「やさしい日本語」6割が希望
4人に1人「日本語で不便感じる」
外国人が日常の暮らしの中で不便を感じていることや困っていること
(「平成28年度(2016年度)港区国際化に関する実態調査報告書」より作成)
東京都港区は4月21日、2016年度の港区在住外国人への意識調査結果を公表した。「区役所から届く日本語のお知らせや通知は、どの程度理解できますか」との問いには、「わかる」と「だいたいわかる」が合せて57・8%、「あまりわからない」と「わからない」が合せて41・1%で、4割以上もの外国人が行政上の重要な通知であっても十分に理解できていないことが分かった。
また、「今朝の大雨洪水警報を受けて、避難勧告が出されました」という文章の意味を理解できた外国人は63・6%だったが、「たくさんの雨で川の水が増えて、とても危ないというお知らせが今日の朝ありました。もし、あなたが危ないと思ったら、安全なところに逃げてください!」という平易な言い回しの文章が理解できた人は72・0%で、8・4ポイントの差が認められた。
このような外国人にわかりやすい「やさしい日本語」で区の情報を発信することを希望するかとの問いには、57・1%が「希望する」と回答。在留資格別にみると、「留学」では77・8%、「永住者の配偶者等」で76・7%にも上る人がやさしい日本語での情報発信を希望していることが分かった。また、区にとって必要な取組として「情報の多言語化」を求める人は49・7%に上った。
日常生活の中で困っていることは、「日本語(読み書きなど)について」が24・1%と最も多く、ついで「生活費(保険料、医療費、税金、年金などを含む)のこと」が19・9%、「病院・医療のこと」が16・0%となった。33・8%は「困ったことは特にない」と答えているが、言い換えれば外国人の3人に2人は何かに困っていて、日本語で困っているのは4人に1人、お金で困っている人が5人に1人いるという状況だ。
日頃の情報の入手先は「日本人の友人・知人」が最も多く50・0%。ついで「SNS以外のウェブサイト」が44・8%、「家族」が42・8%となっている。「SNS(Twitter、Facebook 等)」は27・5%となっており、前回調査時の8・1%から19・4ポイントの大幅増となった。
また、「あなたは地域のコミュニティやグループに参加していますか」との質問について3年前調査と比較すると、「参加していない」が先回の59・4%から今回は77・4%へと18・0ポイント増加した。SNS等の普及に伴い、バーチャルなコミュニティでの交流や情報収集が拡大しつつある傾向も読み取れる。
調査は2016年7月~8月にかけて港区在住の外国人に実施し、1241人からの回答を得た。調査対象の国籍は、「中国または台湾」が23・0%、ついで「米国」が16・9%、「韓国または朝鮮」が15・4%の順となっている。在留資格は「永住者」が28・8%と最も多く、ついで「技術・人文知識・国際業務」が19・5%、「家族滞在」が10・2%の順だった。
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