<向学新聞2017年12月号記事より>
留学生の就職、過去最多
在留資格変更許可2万名に迫る
ベトナムとネパールが倍増
2016年に日本の企業等に就職するために就労ビザへの変更を申請した留学生は2万1898人で、うち許可されたのは1万9435人となり、申請数・許可数ともに過去最高となったことが法務省入国管理局の統計で分かった。許可数は2011年から6年連続で増加しており、国籍別では中国が初めて1万人を突破した。
変更許可者を国籍別に見ると、中国が最多の1万1039人(12・1%増)だが構成比では56・8%となり初めて6割を切った。次いでベトナムが2488人と昨年から倍以上に増え(115・8%増)、構成比でも12・8%と初めて1割を突破した。次いで韓国が1422人(10・4%増)。4位のネパールは1167人で、ベトナムと同様前年から倍以上に増え(132・0%増)、ベトナム・ネパールの伸びが際立つ結果となった。日本学生支援機構の留学生数の統計では2014年から2016年にかけてベトナムは1万人、ネパールは5000人ずつ毎年増えていることから、今後も更に両国の日本での就職者数は増えることが見込まれる。
在留資格の種類別では、技術・人文知識・国際業務が1万7353人(構成比89・3%)で、この5年間で倍増。次いで多かった経営・管理についても5年間で3倍に増え916人(4・7%)となっている。
業種別で伸びが顕著だったのは、製造業の中では食品だけが前年の1・7倍に伸び607人となったが、他の業種は微増にとどまり化学は前年比マイナス17人の142人だった。いっぽう非製造業では商業が5202人、コンピュータ関連サービスが2374人でそれぞれ前年比約1・5倍に増え、この5年間では一番の伸びを見せた。同様にホテル・旅館も前年の1・6倍(756人)、旅行業も1・4倍(576人)となり、特に飲食業は最も大きく2・6倍に増えている(1334人)。従来からの人手不足の傾向とあいまって、ここ数年の訪日客の急増に対応するため、インバウンド関連分野で外国人人材へのニーズが増加していることがうかがわれる。
政府は2017年3月に「観光立国推進基本計画」を閣議決定し、2020年までに訪日外国人旅行者数を15年の2倍の4千万人に、旅行消費額を15年の3・5兆円から8兆円に、リピーター数を倍増する等の目標を掲げ、地方の魅力の掘り起こしや観光人材の育成、ビザの緩和などの施策を打ち出している。
中長期で日本に滞在する留学生は語学力や日本文化への理解を実際の日本社会での生活体験を通して身につけており、インバウンド分野で戦力となれる素地を持つ存在だ。今後も訪日客増の流れは続くと見られ、人材としての活躍の場もさらに広がることが予想される。
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