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向学新聞2019年4月1日号記事より>


外国人労働者146万人で過去最多

地方は技能実習、都市圏は資格外活動増

産業の動向にも影響

 2018年10月末現在の日本の外国人労働者数は約146万人となり、過去最高を更新したことが厚生労働省が1月25日に公表した統計で分かった。技能実習や、留学生等の資格外活動の人数が着実に増加を続けている。146万人という数字は沖縄県や滋賀県などの総人口に匹敵する規模となっている。



 都道府県別に見ると、労働者数が最も多かったのは東京の約44万人、次いで愛知15万人、大阪9万人の順。また、増加率が高い順でみた上位3府県は、熊本が前年同期比31・2%増(1万155人)、大阪24・7%増(9万72人)、鹿児島が23・8%増(6862人)と西日本での増加が目立った。


 事業所数の増加率については、宮崎が前年同期比23・7%増(860か所)、熊本22・8%増(2438か所)、鹿児島19・3%増(1393か所)の順で大きく、九州地域の伸びが目立っている。

在留資格の内訳比率


 さらに各都道府県ごとに在留資格の内訳をみると、宮崎は技能実習が67・6%(2800人)を占め、資格外活動11・6%の6倍に及んでおり、技能実習が占める比率では全都道府県中で最も高い県となっている。熊本も62・0%、鹿児島も63・3%を技能実習が占め、人手不足に悩む地方で実習生が急増していることがわかる。


 いっぽう大都市圏を見ると、大阪は資格外活動が31・7%(2万8596人)で技能実習の18・2%を上回る構成比となっている。東京も資格外活動が37・6%(16万5124人)と最多で、専門的・技術的分野31・0%とあわせると約7割に上っており、技能実習生の構成比は3・5%にすぎない。


 また宮崎県や鹿児島県では、産業種別のうち製造業に就いている外国人の割合は4割を超えている。


 以上のことから、中小製造業等が多い地方では技能実習生が多く、飲食などのサービス業や小売業が盛んな大都市圏で留学生等のアルバイトが多いといった、おおまかな傾向が浮かび上がる。


 技能実習と資格外活動はあわせると全外国人労働者の4割を超え、人数計でも約60万人にのぼり、この数字は鳥取県一県の総人口を超えている。若い外国人は人手不足に直面する産業の行方に影響を及ぼす無視できない存在となりつつあるが、これら在留資格は本来就労を目的としたものではない。


 4月から受け入れを開始する就労目的の在留資格「特定技能」は5年間で14業種に34・5万人を上限として受け入れることを見込んでいる。ただ初年度は半数程度が技能実習からの移行となるとの見通しもあり、特定技能での新規入国者がどれほど増えるのか今後の動向が注目される。




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