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向学新聞2019年9月1日号記事より>


外国人の90%、生活支援必要

企業は「キャリアパスが不明確」


 総務省行政評価局が6月25日に公表した調査結果によると、日本に住む外国人の8割が生活環境には満足しているいっぽう、公的な生活支援が必要だとの回答も9割に上った。特に住宅(6割、複数回答、以下同じ)、医療(4割)に関する情報の支援や、行政サービスの多言語化(3割)が必要との声が多かった。「住居を外国人が借りられる条件が厳しく、見つけるまで約2ヶ月かかった」「役所の関係書類が外国人にとって分かりやすくなれば」などの意見があった。企業も7割が外国人の生活支援が必要だと回答しており、住宅(6割)、行政サービスの多言語化(6割)のほか、日本と母国の年金の接続(5割)や医療(5割)の支援を望む割合が高かった。

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 外国人の生活支援については、広島県のように外国人向けの暮らしの専用サイトを設けたり、福岡県のように24時間365日の電話通訳・医療案内サービスを実施するなど先進的な事例があるが、いっぽうで外国人向けの支援を積極的に進めていない自治体もあり、温度差が見られた。中には他の自治体の取り組みの周知・共有を望む意見もあった。総務省は今後、効果的な取り組み事例を収集して横展開する仕組みを構築することが必要だとしている。


 また、就労環境については外国人の7割が満足しており、今後10年以上の勤務希望者は6割だった。しかし就労環境に課題があると感じている割合は外国人材の7割、企業の6割にのぼり、「キャリアパスが不明確/明確に示せていない」とする意見が外国人材(3割)・企業(5割)ともに最も多かった。「昇進、昇格、昇給の基準が不明確」との回答も外国人材の4分の1に上った。総務省はこうした課題の多くが「日本企業の雇用慣行」に由来すると指摘。厚生労働省や経済産業省が作成した外国人材活用事例集などを通じて優れた取り組みを周知し、企業の環境整備を促していくことが必要だとしている。




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