向学新聞2021年4月号目次>日本語学校在籍者数激減 (日本語教育振興協会調査)

向学新聞2021年4月記事より>

日本語学校在籍者数激減 在籍率37.3%
日本語教育振興協会調査

 3月12日、一般財団法人日本語教育振興協会(日振協)は、同協会が日本語教育機関として認定している機関を対象に実施した、日本語教育機関実態調査(2020年7月1日時点)について、結果を公開した。260機関に調査依頼をし、224機関から回答を得た(回答率86・2%)。なお、この機関数は、日本全体にある日本語教育機関の約3分の1の数であり、日本全体の数ではない。

日本語学校在籍者数

 今年度は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、日本政府による上陸拒否措置などが行われている最中での調査となり、学生数は前年度と比べて激減した。在籍している学生は合計で2万4253名となり、前年度同時期から約42%減となり、収容定員に対する在籍率は37・3%となった。

 これまでに日本語教育機関が担ってきた役割は、日本語の教育のみならず、来日間もない留学生たちが日本の生活に慣れるように、生活面から在留や自治体での手続きなど、教職員が細やかに指導・支援してきた面がある。日本語教育に関する高い専門性や自治体との連携など、日本語教育機関が培ってきたノウハウは、多文化共生社会を目指すこれからの日本にとって、貴重な資源とも言える。

 日本語教育推進法の制定や、公認日本語教師の制度(日本語教師の資質と能力を証明する新たな資格)の整備も進められ、日本語教育機関の社会的役割が見直されている最中、その重要な担い手である日本語教師の雇用が守られなければ、外国人受け入れ体制に与えるダメージは大きい。
 日本語教育機関の留学生の激減は、その後の進学先である専門学校や大学・大学院の入学者数にも今後大きく影響してくる。これは日本語教育機関だけの問題ではなく、日本の留学交流全体と、その先の日本社会での外国人材の活躍にまで大きく影響を及ぼす内容だ。

 日振協を含む日本語教育機関関係6団体(※)では、日本語教育機関へのアンケート結果などをもとに、必要な対策・支援を政府や与党に求める方針だ。担当者は、「高いスキルを持った日本語教師であっても、一度その職を失い他の職種に就いてしまうと、戻らないことが多い。後進の育成体制にも大きく影響し、日本語教育のインフラの崩壊につながりかねない」と話す。
 日本語教育機関が担う役割とその重要性が再認識され、相応しい支援が講じられることを期待したい。

※日本語教育機関関係6団体
一般財団法人日本語教育振興協会、一般社団法人日本語学校ネットワーク
一般社団法人全国各種学校日本語教育協会、一般社団法人全国日本語学校連合会
全国専門学校日本語教育協会、一般社団法人全日本学校法人日本語教育協議会

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