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ベトナム人留学生から見た技能実習生
チャン・ビッチゴックさん
九州産業大学国際文化学部日本文化学科

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 第二回九州地区ベトナム人技能実習生日本語スピーチコンテストが11月23日、九州産業大学で開かれた。これは在福岡ベトナム人協会と九州産業大学日本語教員養成課程とのコラボレーションで実施されたものである。会場には約200名が来場し、ベトナム人が約6割、日本人が約4割だった。そして、今回のテーマは「私の中の日本」である。ベトナム人留学生である私は、同じ国から来日した彼らがどんな発表をするのか、この大会の開催を心待ちにしていた。

 多くの応募者の中から厳正な書類審査を通過した9人が晴れの舞台に立ち、それぞれが来日前の期待、実習や仕事に対しての不安、コミュニケーションの難しさ、職場での出会い、自らの想い、経験を必死に訴えかける姿に、私は、日本に来た頃の自分の姿を重ねた。

  私も初めて日本に来た時、言葉の壁に苦しんだ。日本語を勉強して来たのに、全く日本語が通じないことや、同級生とコミュニケーションが取れないことも多かった。家族も友人もいない環境で、人生で初めて孤独を感じ、一人の心細さに涙を流した夜もあった。それは発表者の彼らも同じだった。言葉の壁にぶつかり、苦しんだ。しかし彼らは、それを短期間で乗り越えてきたことをスピーチの中で語っていた。
 
 日本は少子高齢化の影響で急速に労働人口が減少し、外国人労働者に頼らなければならない状況である。技能実習生は日本人が働かない職種を担って、日々、一生懸命学び働いている。これから大学を卒業し就職する私にとって、社会の先輩である彼らは私の「希望」である。私も彼らを見習って立派に働きたい。
 
 実習生は、経験を積みながらお金を稼ぐことを目的として来日している。これは悪いことではない。少しでも多くのお金を稼ぎ故郷の家族を楽にさせたいのであるから。また、苦労しながら生活をする中で、日本人の優しさに触れ、最終的には日本に永住したいという目標を持つ発表者も多かった。私も、最初はただ、日本で勉強して就職するために留学した。しかし、大学に入って多くの日本人と出会い、優しさをもらった。それはかけがえのない一生の宝物である。私は日本に来てよかったと心の底から感じている。そういった、私や彼らの想いが、今回のスピーチ大会に参加していた日本人の方々に少しでも伝わっていたのなら嬉しい。
 
 最後に、スピーチの中で印象に残った一言を紹介する。それは、今回の大会で優勝したファム・ドゥック・クオンさんの言葉だ。
「幸せは他の人にもらうのではなく、自分で掴み取るもの」。
 私もたくさんの人との出会いに感謝しながら、自分の夢に向かって前進し続けていきたい。
(取材補助/鶴千尋さん九州産業大学国際文化学部日本文化学科)

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