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向学新聞2022年10月号記事より>

留学生30万人計画 抜本的見直し 

 文部科学省は、6月22日、中央教育審議会大学分科会において、コロナの影響で激減した外国人留学生受け入れと、日本人学生の海外留学について、今後の施策の方向性や数値の目標を明らかにした。数値目標としては、5年後(2027年)を目途に、激減した外国人留学生・日本人の海外留学生を少なくともコロナ禍前の水準(外国人留学生30万人、日本人海外留学10万人)に回復させることを掲げた。
 

 その後岸田首相は、8月29日に永岡桂子文部科学大臣とオンラインで面談した際に、「現行の『留学生30万人計画』を抜本的に見直し、外国人留学生の受け入れだけでなく、日本人留学生の送り出しを加えた『新たな留学生受入れ・送出し計画』を策定する」よう求めた。

留学生受け入れの様子
 インターカルト日本語学校の田村氏は、受け入れ状況について「現在、待機している留学生はゼロで、入学予定者は全員入学できた。入国制限緩和当初に比べてスムーズになってきたが、コロナ関連での手続きの負担は依然として多い」と話す。来日した留学生達の様子は、「オンラインで授業を受けていた学生たちが来日して、2年越しに対面で会いお互いに喜ぶ姿は感慨深かった。ただ、中には以前旅行で来た時よりも、日本に元気がなく閉鎖的な雰囲気だと、がっかりする声も聞こえる。早々と帰国してしまった学生もいた。他にも、役所の窓口での対応が以前よりも冷たい対応をとられ、悲しい思いをした学生もいた。学校としては、コロナ対策をしながらも交流の機会を増やしていきたいが、学校は留学生活のごく一部分。留学生活をより良いものにしていくには、日本社会全体で留学生を受け入れる意識や雰囲気作りが必要に感じる」と話す。

 欧米からの留学を支援をするGoGo NihonのCEOデイビッド・ロッシ氏は、「留学生は順調に入国している。円安の影響もあり入学者が多い」と話す。一方、「現在、欧米の若者の留学先として韓国の人気が高まっている。K-POPや韓国ドラマへの関心や、コロナ禍下でも対策をしながら海外からの留学生を継続的に受け入れていた点で、日本と差がついたのでは。日本が再び留学生30万人を目指すのであれば、留学生が生活しやすく日本と統合しやすくするため、より多く投資する必要を感じる」と話す。
 
 日本の留学生受け入れは、新たな段階を迎えている。「日本に留学したい」と思われる日本社会へと前進していけるか、重要な局面だといえる。

 



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