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向学新聞2024年1月号記事より>

国家資格『愛玩動物看護師』
資格を持って自立した職業人に

2019年6月に「愛玩動物看護師法」が制定され、2023年4月に満を持して「愛玩動物看護師」が誕生した。動物看護師の国家資格化を目指し、日本の動物看護教育を牽引してきたヤマザキ学園の山﨑薫理事長にお話を伺った。

山﨑薫 氏
山﨑薫 氏
学校法人ヤマザキ学園 理事長・学長

―新しくできた愛玩動物看護師とはどのような資格ですか。

「愛玩動物看護師法」は、愛玩動物(犬、猫、鳥(一部))の看護等の業務に従事する者の資質向上・業務の適正を図ることを目的に、『愛玩動物看護師』の国家資格を定めた法律です。採血や投薬等、獣医師の指示の下に行われる愛玩動物の診療の補助業務範囲が広がりました。

昨今のペット飼育の多様化・高度化に対応するため、獣医師と愛玩動物看護師のチーム獣医療体制の整備や、愛玩動物看護師による適正飼養の普及活動等の充実が求められています。幅広い専門知識と技能を活かすことで、動物病院だけではなく、グルーミングサロン、ペットフードメーカー、教育施設や介護施設等での動物介在活動においても活躍が期待されます。

―国家資格ができるまでのヤマザキ学園の歩みを教えて下さい。

「生命への畏敬」「職業人としての自立」が本学園の建学の精神です。創始者である父 山﨑良壽は、21世紀は資格の時代になると予測していました。資格があってこそ、女性も自立した職業人として活躍できると考えていたのですが、戦後の日本には、そのような職業は殆どありませんでした。

創始者は、欧米では既に専門職として認知されていた動物ケア・看護の仕事に着目し、わずか7人の生徒で講習会を始めたのが本学園の出発点です。この時すでに、職業として確立するために大学の設立と国家資格化を目指すことを決意していました。1990年に志半ばで創始者が他界したため、私が遺志を継ぎ、専修学校、短期大学、大学、専門職短期大学の設立に奔走しました。大学と専門職短期大学の開学は、国家資格化への後押しとなりました。

―山﨑学長ご自身も、海外に留学を経験されたそうですね。

はい、きっかけは高校三年の夏休みに父について行った海外視察旅行でした。父が学生の時は戦争中で、留学することが叶わなかったことから、娘には留学させたいと考えていたようです。一方母は、10代で留学することに反対していましたが、最終的には許可をもらうことができました。

羽田空港からアメリカに旅立つ朝、父から手紙を渡され、そこには一言だけ「It shall be done(なせば成る)」と書かれていました。この言葉は、困難の連続だった留学生活だけでなく、その後も私を支えてくれる大切な言葉になりました。親として様々な想いを抱えながらも、娘の意思を尊重し可能性を信じて送り出しれくれた両親には感謝しています。今、日本に来ている留学生の皆さんのご両親も、きっと同じ想いで送り出していらっしゃることでしょう。

―外国人留学生にとって、愛玩動物看護師の資格はどのような魅力がありますか。

愛玩動物看護師の国家資格は、留学生の皆さんにとっても、キャリアの可能性を広げるものだと思います。日本の動物看護に関する専門知識と技能を習得し、日本で就労したり、母国に帰って起業したり、或いは専門知識や技能を母国で啓蒙して広める教育者になる道もあると思います。

感受性豊かな若い時の留学生活は、人との出会いが宝物になります。色々なことを経験し、知見を広げてください。また、留学中はペットを飼えないことが多いと思いますが、本学園のオープンキャンパスでは動物と触れ合える企画もありますので、ぜひ遊びに来てください。

式典・祝賀会

国家資格『愛玩動物看護師』誕生  ヤマザキ学園設立55周年記念式典・祝賀会
2023年12月10日、都内のホテルにて、国家資格『愛玩動物看護師』誕生 ヤマザキ学園設立55周年記念式典・祝賀会が開催され、政財界、動物関連団体などから約270名が参列し、盛会のうちに終了した。
国家資格化に尽力した政界関係者や文部科学省私学部長、日本獣医師会会長、キャンパスが所在する八王子市長、渋谷区長の挨拶があり、教育関係や動物関連産業界からの祝電が披露された。また、学園創立以来の念願であった国家資格を取得した第一期生でもある教職員が出席し、会場は『愛玩動物看護師』誕生を祝う参列者のあたたかい拍手に包まれた。

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