Top向学新聞2019年6月1日号 特集 アフリカ>アフリカ人留学生受入の現状と課題

アフリカ人留学生受入の現状と課題 


筑波大学教育研究科 川口純 助教
筑波大学教育研究科 佐久間茜 研究員

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 日本のアフリカ人留学生受け入れはどのような現状にあり、課題解決のために何が必要とされているのか。「アフリカの留学生を支援する制度・課題に関する国際比較研究」の成果を発表した、筑波大学教育研究科の川口純助教と佐久間茜研究員にお話を伺った。


――世界ではアフリカ人留学生の受け入れは増加傾向にあるか

川口 「世界の留学生数が高止まり傾向にある中、アフリカ人留学生に関しては今後も増加していくであろうことが指摘されている」

――中国の受入数が急増している

川口 「中国はアフリカ人をターゲットに奨学金を出し、アフリカ現地に孔子学院を作り、中国内の語学学校に受け入れている。日本は少数精鋭で、この5年間で修士を中心に1000人受け入れたが、中国は語学学校生を含めて2015年に3万人、2018年には5万人受け入れており桁が違う」

――在日アフリカ人留学生が日本を選んだ理由は

佐久間 「日本企業で働いていた/日本文化に興味を持ち日本語を学んでいた/青年海外協力隊の日本人の友人と出会った/など、もともと日本への親和性が高い方が多いことが調査で分かった。3割が、日本留学経験者の同僚や友人から英語で日本留学できると聞いて決めている。もともと何か接点がなければ、あえて日本を選択するのはかなりハードルが高い状況だ」

――卒業後日本で働きたいアフリカ人留学生は多いか

川口 「就職希望者は多いが、支援は不十分だ。韓国人や中国人はアフリカに多く居てビジネス展開も多いが、日本人のビジネス展開はまだこれから。本来、日本人がアフリカにしっかり入り込んで英語でビジネスをしていけば、アフリカ人留学生が日系企業に就職する機会はもっと増えると思うが、そこが非常に弱い」

――アフリカ人留学生からの要望は

川口 「日本社会に入り込みたい、就職したいという意向が非常に強いので、就職情報を求めている。現状は先輩やSNSコミュニティ上で知り合いの伝を頼ったりしている」

――実力ある貴重な人財が来ているのに素通りして自国に帰るなら彼らにとっても日本にとっても残念なこと。早くから日本語力を身につけようと思ってもアフリカ現地に日本語学校は少ない

佐久間 「ドイツのゲーテ・インスティトゥートや中国の孔子学院など、公的資金が現地の語学学校に投入されているのとは大きく違う。語学学校がアフリカで身近にあるので、そこに入れば各国の大学につながる、そう考えるのは当然だと留学生は指摘していた」

――日本も現地にもっと日本語学校を展開すべきでは

川口 「まず日本語の先生が必要。例えば青年海外協力隊には日本語教師の職種があるので、アフリカにニーズがあることを示し、もっとボランティアを派遣すれば良い」





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