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~求められるグローバル人材とは~

三井化学株式会社
 


 日本企業の海外進出が進む中、世界で活躍できるグローバル人材の必要性が大きく注目されている。そこで今回は、世界を舞台に活躍している化学メーカーである三井化学株式会社人事部の小野真吾氏に、事業のグローバル展開とそこで求められている人材像についてお聞ききした。


現在に至るまでの一貫性が大事  共通言語「ロジック」備えた人材必要

――化学メーカーである三井化学株式会社は、どのようなかたちで社会と関わっているのですか。
 化学技術により材料を作り、自動車業界や電気業界、生活材料、農業、メディカル、エネルギーなどの様々な業界に提供しています。特に弊社は石油化学をベースとした製品を多数揃えていますので、例えば、世界トップ事業として、付加価値の高いプラスチック原料を保有しています。中国やインドなどの新興国では、まだまだ市場が伸びていきます。一人あたりのGDPが伸びると生活水準が上がり、一人あたりのプラスチック使用量も増加していくという背景があります。例えば、従来ガラスで作っていたビンやメガネが、プラスチック材料に置き換わっていくのです。プラスチック需要の増加の中、優位性のあるプラスチック製造技術が三井化学にはあります。
 また、人は生活すれば必ず化学製品を使うと言われますが、包装材料、パッケージ、赤ちゃんの紙おむつなど生活に関わる製品材料も作っています。他に食料問題や農業関係にも対応しており、ハイブリットライスと言われる、環境に強い種子を化学のテクノロジーで作り出していますし、他にもエネルギー分野の太陽電池やバイオといった事業にも携わっています。

――現在のグローバル展開の状況は。
 現在は、まだ日本国内への販売金額が多いのですが、アジアを中心に海外売上高が非常に伸びてきています。弊社では、中国やシンガポールなどのASEANを中心に、欧米、インド、ブラジルなど43拠点に海外展開しています。海外売上高比率は2010年度実績で42%ですが、近い将来、アジア地域でのシェアを上げる事で、海外売上高比率を一気に50%まで引き上げるということが基本的な目標です。

――海外進出の中で、求められる人材像とは。
 まずベースとなるのは、自分できちんと考えて、筋道を立てて行動できる自立型人材ということです。またグローバル展開を担える人材として、海外における異文化経験を持っていることや、物事を見る観点や行動する領域が日本国内ではなく「世界」であることです。そして世界共通言語である「ロジック」を備えた人材です。やはり外国におけるビジネスではロジカルさを求められますので、非常に大事なことです。
 弊社の場合、若くても、自らがやりたい事が何かという事を問われる会社で、この規模の会社にも関わらず自分の考えを持ち、実現したいことがある人にとっては、そのフィールドがどんどん与えられ、自ら切り開くことができると思います。
 私自身入社して8年間事業部に所属し、半導体や液晶、太陽電池など韓国や中国、台湾がメインの市場でアジアのグローバル企業相手に、ビジネスを展開していた経験があります。世界スタンダードとはどういうことなのか、世界の一流企業、ナンバーワン企業はどんな意識でやっているのかといったことを、実戦を通して学ぶことができました。

――外国人社員の方は、どのような活躍をされていますか。
 グローバルにタレントをマネジメントしたいということで、日本国内スタッフとして人事で働いている方もいますし、海外生産拠点のプロジェクトに携わっている技術者の方もいます。また、色んな国を飛び回ってセールスをしている方もいます。母国に限らず様々な分野で「海外」というのをキーワードにしながら、活躍されています。

――選考ではどういった点を重視していますか。
 面接では、日本人学生、外国人留学生問わず、今まで生活してきて色々な経験の中で、何かをしましたというだけではなく、なぜそれをしたのか、そこに至るまでどんなことを考え、どんな葛藤があったのか、そのあたりを深めて聞かせていただいています。
 例えば、日本に留学するにあたっても、ただ単に日本に来ましたということではなく、留学するということは、自らハードルの高いことに挑戦するわけですし、なぜ日本を選んだのかという点は非常に大事だと思っています。
 様々な角度からお話を聞かせて頂いて、その中に「一貫性」がなかったりすると、余り深く考えて生きてこられなかったのかなと感じてしまいます。現在に至るまでの「一貫性」や「ポリシー」を持っている方、実際その「ポリシー」がどんなものであるかは構わないのですが、そこは非常に大事なところだと考えています。



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