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タイラー バーデン 氏 
(東京農工大学 外国人語学教員) 


英語による授業を増やすべき  日本語学科の学生にアピールを

――現在日本には14万人近い外国人留学生がいます。政府は留学生の受入れ30万人を目指していますが問題点は何でしょうか。
 まず、語学の問題があります。英語による授業やカリキュラムは今後増やしていくべきだと思います。以前勤務していた大学で、英語による授業を受け持っていました。しかし、英語で学ぶことができる内容がとても少ない状況でした。また、大学のウェブサイトは基本的に日本語表記ですが、英語表記がある場合でも、直訳のため理解することが難しい時があります。ネイティブスピーカーを活用するなど、英語を使う場合も注意深く翻訳する必要があります。また、日本の学期の開始時期が諸外国と違うことも障害となっているでしょう。東京大学による秋入学の検討は評価すべきだと思います。

――世界的な留学生獲得競争において、欧米諸国だけではなく日本と同じアジア地域にある中国の存在感が近年とても大きくなっています。日本はどうのように巻き返しを図っていけばよいでしょうか。
 海外大学とのコネクションの強化が重要です。協同プログラムの実施など、様々なスキーム作りを進めていくと同時に、奨学金支給の拡充も有効的でしょう。また、ロンドンに日本語学科を設置している大学がありますが、そういった世界各国の日本語学科の学生に日本留学をアピールすることも効果的だと思います。

――サブカルチャーの影響などで、日本への関心は世界的に高いと言えます。その関心を日本留学に繋げるためには何が必要でしょうか。
 卒業後に何を得ることができるのかがポイントです。要するに、就職できるのかどうかです。米国や英国は留学先として、英語というアドバンテージがあります。日本文化は世界的に人気を博していますが、文化だけでは実利的な面で留学先としての魅力が乏しくなってしまいます。しかし、日本はテクノロジーやサイエンスといった世界的に強い分野で、学生を惹きつけることができるはずです。また、そういった能力は日本や母国のみならずどこでも通用すると思います。


Tyler Burden
 英国出身。レスター大学大学院(英国)言語学研究科にて文学修士を取得。1996年から日本で勤務。ブリティッシュカウンシルなどを経て、2011年から東京農工大学で教える。

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