Top向学新聞内外の視点>ニックス マイケル氏


ニックス マイケル氏 
(中央大学 法学部教授) 


日英二言語のちゃんぽんを  アジアのハブを目指すべき

――日本の留学生受入れ体制の課題とは。
 英語による授業導入が進んでいますが、急激な英語化のみは好ましくないと思います。言語の移行と同時に、教育方法も変化させる必要があります。例えば、英語と日本語の二言語を使用した授業スタイルです。私も英語での授業を担当していますが、日本人教員と一緒に講義をする時があります。私が講義した内容を日本人教員が日本語で要約し、質疑応答に対応しています。
 今後東南アジアが非常に重要な地域になっていきます。中国など比較的日本語を習得しやすい国以外からの留学生のことを考えると、英語での授業は効果的です。しかし、留学生も日本語を話したい、学びたいと思っているはずです。ですから、必ずしも英語と日本語を分けるのではなく、うまく「ちゃんぽん」する(混ぜ合わせる)ことがキーになると思います。

――留学生受入れ先進国の英国と日本を比較して、どのような違いがあるでしょうか。
 英国の大学は、経営面から見て留学生を重要な要素だと考えています。ですから、その分留学生を手厚くサポートしています。大学入学前の英語準備コースやカウンセラーの充実などが良い例です。日本の大学は、日本語力を含め、大学の責任で留学生を支援するという意識が弱いように感じます。留学生の受入れ拡大は、一部の関係者だけではなく、大学全体がグローバル化することが重要です。

――日本留学の魅力を引き上げるにはどうしたらよいでしょうか。
 日本はアジアのハブを目指すべきです。そのためには、中国や韓国だけでなく東南アジア全体やインドなどからの留学生を呼び込むことが必要です。そして世界からの留学生が日本の文化などだけでなくアジア全体の政治や経済的な発展を学べるようにすることが良いと思います。アジアのハブとなることで、コスモポリタン的な魅力が多くの学生を引き付けるでしょう。


Michel Nix
 英国出身。ヨーク大学(英国)で学士号、バーミンガム大学(英国)で修士号を取得。1991年に来日。杏林大学、早稲田大学、東京外国語大学などで非常勤講師を務める。1999年に中央大学専任講師、2007年に中央大学法学部教授に就任。専門はカルチュラル・スタディーズ。


a:5388 t:1 y:4