
竹中大工道具館
匠の知恵と技術を知る
日本唯一の大工道具博物館
江戸時代初期創業の日本を代表する建設会社、竹中工務店が設立した「竹中大工道具館」は、日本で唯一の大工道具を専門に展示する博物館だ。海外の道具も含め3万点を越える大工道具を収集し、その一部を常設展示している。
右ウィンドウ内は日本の大工道具の標準編成
世界にも稀にみる多様性と独自性を持っている
館内には鋸、鉋、鑿などの道具や木材を解説とともに展示。日本の木造建築が、いかにそれらの道具を駆使しながら知恵深く精巧に作られているかがわかる。
例えば建築に使われる木材は表面がスベスベに仕上げられているが、それを可能にしているのが鋭い鉋の刃だ。鉋から出てくる削り屑は最も薄いものはわずか数ミクロンしかなく、そのレベルの削りくずは「削り華」と呼ばれる。木の建物作りはそれほどの精密さを追求するものなのかと、驚くばかりだ。

指が透けて見えるかんなの削りくず
「削り華」はこれよりさらに薄い
また、古い木造建築には主な構造に釘をほとんど使わないで建てられているものがあるが、どうすれば木がガッシリと組み合ってびくともしない構造ができるのか実物を見て学べるほか、噛み合った「継ぎ手」の分解を実際に体験することで先人の知恵を感じ取ることができる。
木材の香りは木造建築だけが持つ美点だ。館内には原木である杉やヒノキ、赤松などの放つ独特な香りを削りくずで体感できるコーナーがあり、天然素材ならではの良い香りが強く印象に残る。
※開館時間/午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
入館料/一般500円、大学生・高校生300円
所在地/神戸市中央区熊内町7―5―1
唐招提寺模型・正面
多種多様な形状の木材が複雑に組まれている
「棟梁に学ぶ」コーナー
規矩術を修める:二軒隅組模型
茶室スケルトン模型の内部
数寄屋大工の技術と感性が生み出す美
竹中大工道具館 多目的ホール内観
竹中大工道具館 外観
2018年2月掲載
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