Top向学新聞日本で働く留学生OBたち>李 遠 さん


李 遠 さん(中国出身) 
(株式会社フィスコ 投資マネージャー) 


問題発見力と解決力が必要  弱点の把握と周囲への発信も大切

――李さんの仕事について教えて下さい。
 投資家向け金融コンテンツを24時間リアルタイムで東京、ニューヨーク及び中国福州から提供する、株式会社フィスコの新規事業開発部に所属しています。弊社では国内トップクラスのシェアを活かして中国、韓国などアジアへ展開することを目指しており、近い将来には社員の半数程度を外国籍にできるようなグローバル企業まで成長できればと考えています。

――「グローバル人材」についてどのように考えますか。
 私の考えでは、海外での生活経験や語学力があるのは当然ですが、さらに重要なのは自分で問題を発見し解決する力です。その問題がなぜ生じているか理解し、解決策を提示して、「一緒にやりましょう」となった時に動いてきちんと結果を出せること。問題の解決がすぐに利益に結びつかないとしても、Win―Winの形に持っていき、最終的に利益に結び付ければさらに次のことができる循環になります。そういう問題の提起・解決策の提案且つ自ら実行し、結果を出せる人が求められます。

――人間としての地力が問われますね。
 例えば弊社は金融コンテンツを配信する会社ですが、今後相乗効果が見込まれる海外企業に資金やコンテンツの編集ノウハウを提供し、一緒に拡大していく戦略があります。組む相手は、すでにマーケットを有していて将来性がある中国等のローカル企業です。組む際に相手が本当にいい企業なのか判断する必要があるからといって、訪問していきなり「財務諸表を下さい」と言っても当然出してはくれません。例えば、まず相手側の担当者と現地の酒を深夜まで一緒に飲めるかどうかです。現地のルールが理解できなくてもきちんと付き合い、人間対人間の信頼を得る姿勢がないとなかなか成功しません。お酒は一例にすぎませんが、言語がよく分からなくても、小さなことの積み重ねで「この人とだったら一緒にビジネスできる」という気持ちが出てくる場合は多いのです。新しいビジネスを一緒にやっていこうとするときには大事なことだと思います。

――今後就職しようとする留学生へのアドバイスは。
 留学生は日本に来て様々な苦労をしていると思いますが、不公平や不正義を感じるような体験は逆に大切な財産になります。その中で解決策を見出し、自分が本当に何ができるのか、得意分野を見つけていけるのは日本で生まれた方に比べて有利な点なのです。留学生だから、母国語ではないから、これはできないという発想は是非やめていただきたいです。言語能力の差を認めたうえで自ら正々堂々と周りの人と勝負し、その中で自分にどんな強みがあるのか考えていくのです。
 ただ、仕事の現場ではまず自分が何ができないのかを把握することも大事です。会社はチームですので、自分の弱点はきちんと周りの先輩なり同寮なりに発信してカバーしてもらうと同時に、自分が得意なところを上手くやれば全体も上手く行くはずなのです。自分の何が根本的に足りないのか気づかないことが多いのは、下手な部分を認めたくないからですが、下手だからこそ「よろしく」といって周囲にはっきり知ってもらえれば組織力も出てくるし、それでお互いにカバーし合うのが組織というものだと思います。そういった面は日本の会社の強みでもあると思うのです。
 私は今年で社会人4年目で、大手金融会社を2社経たのちに現在の会社に就職しました。今のこの会社は私の存在が必要とされ、本当に企業と共に成長していけることを実感しています。弊社も含めて、そういう経験のできる会社は日本にたくさんあるので、自分に合う分野を見つけて挑戦していただければ、日本社会全体にとっても良いことですし、奨学金をはじめ今まで日本の方にいろいろお世話になったことへの恩返しにもなると思います。



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