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左 亦文 さん 

蘇州大学日本語学科(東京学芸大学交換留学)


彼らの居場所はどこか


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外国にルーツ持つ子どものサポートシステムを


きのう ぼくは にほんごで べんきょう しなかった。
せんせいが かなしい かおに なった。
どうして ぼく わるかったです。
にほんごが できない おもしろくないです。
せんせい ごめんなさいです。
ぼくは おおきく なったら タイにかえるかな。
  スポット「ぼくのみらい」

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 KIFA(東京都小平市)での
着物体験に参加した
左亦文さん

 スポット君の初々しさを垣間見て、後々まで印象が残っている。善元先生の紹介によると、彼はタイからの九歳の男の子だそうだ。


 実際、スポット君のような日本語のわからない子どもたちはマイノリティではない。文科省の調査によれば、日本語指導が必要な児童生徒が在籍する市町村は、今や、全市町村(1741)の半数に上って、全国的に増加傾向にある。幼い頃から母国を離れて子供たちは日本の生活にどうやって適応できるのかと思って、七月七日のフィールドワークで善元先生と一緒に、子供たちの生活している新宿区大久保を回った。


 さまざまな背景をもつ人びとがともに暮らす大久保地区は一般的にコリアタウンとして知られていて、2017年外国人の比率が47・4%と際立って高かった。ミョンドンっぽいファンシーストアやコリアレストランがいくつも連なっていた。実際、コリアに限らず、中華料理店や華僑物産店も少なくなかった。ドン・キホーテの店頭に中国語の「吞喜天宝」 が書いてあった。少し歩けば、ネパール、トルコなどと南アジアから西アジア、中東まで文化圏が広がっていた。空気の中にスパイスの匂いが漂っていて、インドやネパールのカレーを販売している店は随所に見られた。肌色の異なった若い子たちが昼も夜も歩き回っていた。ネパール居酒屋モモの親父さんはお店のサービスをネパール語で紹介して、将来自分のお子さんを大久保の日本語学校に通わせたいと言った。


 残念ながら、多くの外国にルーツを持つ子どもにとっては、それは安易なことではない。まず日本語を勉強するには、ひらがな、カタカナ、漢字と外来語をたくさん覚えるべきだ。彼らは勉強で大変苦労をしている。言語のせいで、学校に編入された子供は不登校になったり、進学も大変困っているそうだ。


 外国にルーツを持つ子どもたちは常々疎外感を感じて、居場所が見つけられない。ミャンマー生まれのロヒンギャ人長谷川ルリカさんはその代表例だ。彼女はミャンマーで迫害や弾圧を受けたため、幼少期に日本国籍に帰化した。来日してもいじめや差別されて、居場所を見つけられずに苦しい思いをしたことがある。日本の小学校に入ったあと、「彼女の肌色を思い出すから、チョコレートケーキが食べたくない」と日本人の同級生に言われた。あの時はきっと複雑な思いを抱えて日々を過ごしていたのだろう。一方、出身国と日本では価値観や宗教観、学校文化が異なるため、日本社会や日本の学校に馴染むことができずに苦しんでいる子供もたくさんいる。結局アイデンティティークライシスになるはめになる。


 NPO法人青少年自立援助センター定住外国人支援事業部責任者・田中宝紀氏は「日本語指導が必要な子どもは4万人以上だ。指導体制が追い付かず、1万人の子どもが無支援状態になった。自分の肌の色が違っても、それを特別視しないような環境を子供たちは求めている」と指摘した。グローバル化につれて、日本にいる外国人の割合が年々上がっている。社会の多文化や価値観の多様化を背景に、外国にルーツを持つ子どもたちの勉強を続けられるサポートシステムを作らなければならないと思う。

新大久保2

2019.7.6 大久保の街並み


[参考文献]
善元幸夫( 2014 )『ぼく、いいものいっぱいー日本語で学ぶ子どもたち』子供の未来社
文部科学省 日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成26年度)の結果について
文部科学省 日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成28年度)の結果について
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00398/
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaiki/20170614-00072060/
https://www.nippon.com/ja/currents/d00430/



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